体育祭

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「よし。じゃあ、始めるぞ」 チャイムが鳴り終わると教頭の三浦大吾(みうらだいご)が前に立つ。 「既にわかっているものもいると思うが、今からは後夜祭の最後に踊るメンバーを決める」 三浦がそう言うと何人かの目の色が変わる。 特に3年生の目が。 「決め方は毎年一緒で、今から配る紙にステージに立って欲しいと思う10人の名前に丸をつけてくれ」 名前を書いたのは学年が違うと漢字を知らないものもいるはずだからという配慮だ。 昔、白紙の紙に書くよう指示したら名前を知らなかったせいで、「赤組団長」「白組2年の美人」「緑組の面白い子」といった風に書くものがいた。 団長、副団長、ならまだいいが他は特定しにくい単語を使われもう一度やる羽目になったこともあるので、今では全員の名前が学年、組ごとにわかれた書かれた紙を渡している。 「あ、それと必ず男子と女子1名ずつ選ぶこと。男子9人、女子1名。逆でもいいが、必ず選んでくれ。いいな」 理由は言われなくても2、3年はわかるが、1年生だけはわからず首を傾げる。 知りたくても先輩たちがいるなかで、質問するという勇気はなく言われた通りにしようと思った。 「一応、15分を目安にしとくが、毎年1時間潰れるから気にせず悩んでくれ。じゃあ、はじめくれ」 じゃあ、最初から時間指定するなよ、と全員思ったが黙って誰にするか悩み始める。 私はとりあえず各団の団長の名前と青組と赤組の副団長に丸をつけた。 あと、3人誰にするか悩んだが三浦が「あと、5分な」と言うのが聞こえ、「うん、残りは他の副団長にしよう」と決め丸をつけていく。
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