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「らっしゃーい」
店に入ると店員さんに声をかけられる。
'いつきても元気だな。大将'
桃花達ときとよくくるので大将と仲良くなった。
大将は私に気づきニカッと笑いかけてきたが、隣の藤堂を見るなり固まった。
急にどうしたんだと首を傾げるが、すぐに我に返った大将にグッドサインを出されて本当に意味がわからなくなった。
無視しよう。
そう決めて藤堂の方を向く。
「どれがいいか決まった?お礼だから気にしないで好きなの頼んでね。お礼だから遠慮しないでね!」
席に着き、お礼という言葉を特に強調して言う。
大将や他の定員、お客に同級生にたかる男と誤解させないために。
「ああ。えっと、じゃあ……俺はラーメンを……」
藤堂はメニューを見て一番安いのにしようと思いそう言ったのだが……
「大将。今の取り消しで。チャーシュー麺にして……」
藤堂は一番高いメニューを躊躇なく頼む私の方を「え!?」と勢いよく見る。
藤堂が困惑していたのに気づいていたが、遠慮しなくていいと言ったのに遠慮なくされたので、私が勝手に注文することにした。
「それと私はバターコーンで。あ、チャーハンと餃子は食べる?」
「いや、だいじょ……うぶ」
これ以上は申し訳なくて首を横に振り断る。
藤堂は私がニコッと笑ったことで、わかってくれたと安心したがすぐに後悔した。
「大将。チャーハンと餃子もお願いね」
「あいよ」
注文を聞き終えると大将は調理に取り掛かる。
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