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「……じゃない」
「え?なんて?」
声が小さすぎてよく声なかった。
「友達じゃない」
藤堂がそう言った瞬間、風が吹いた。
髪が靡く。
それでも、彼の目はブレることなく真っ直ぐと私の目を見つめていた。
'友達じゃない?聞き間違い?'
私はその発言に混乱する。
言っていることが理解できなかった。
だって、茜は遊ぶたびに藤堂の話をしていた。
そしていつも仲の良い友だちなんだと自慢していた。
それなのに藤堂は「友達じゃない」と言う。
もしかして私のせいで友達をやめるってことなのかと思い、顔が真っ青になる。
「ごめん」
そう言おうと口を開いたが、先に藤堂が口を開きこう言った。
「桜庭は関係ない。俺はあの二人を友達だと思ったことは一度もない。だから、気にしなくていい」
私の顔が顔が真っ青になっていくのを見て、慌てて否定する。
「……友達じゃないの?」
私は藤堂が何を言ってるのか理解できなかった。
あれだけ一緒にいるのに友達じゃないなんて、なら彼らと何故いるのか。
「ああ」
藤堂は即答する。
「なら、どうして一緒にいるの?」
私を安心させるために言ってるのか、本当に友達じゃないから言ってるのか知りたくて尋ねる。
友達じゃない、発言で一瞬で藤堂のことがわからなくなった。
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