裏切り

23/29
前へ
/124ページ
次へ
「俺の友達が仲良いから。自然と一緒にいるようになっただけ。友達と遊ぶ約束をしたのに、気づけば知らない奴もいて、そのせいで話すことは何度かあったけど別に仲良くはない。二人で遊ぼうと思わない。強いて言うなら、友達の友達って関係だ。だから、そんな顔をしなくていい」 'そんな顔?' 藤堂が言うそんな顔をとはどんなかはわからないけど、何故か今の彼の顔は私より傷ついた顔をしている気がする。 私は藤堂の言葉になんて返すのがいいか、わからず固まってしまう。 友達の友達。 だから何ともない。 彼の言いたいことはわかった。 でも、どうしてそれなら仲良くない私のこたは助けてくれたのか。 彼が優しいからなのか、それとも他に何か理由があるのか。 今日は頭を使いすぎて何も考えられなかった。 「……じゃあ、俺はもう行くよ」 「あ、うん。送ってくれてありがとう。じゃあね」 これ以上考えても仕方ないと思い、私は笑顔でお礼を言う。 どうせ、明日からは元通りの関係になるのだから。 「ああ。じゃあな」 藤堂の背中が見えなくなって私は家の中へと入ろうとするが、玄関に何か挟まっていた。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加