裏切り

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「ちょっと!巴!いつ藤堂と仲良くなったの!?」 教室に入るなり楓に腕を掴まれ席に座らされる。 楓にあの現場を見られたのかと頭が痛くなる。 藤堂が私に挨拶したこで注目を浴びて恥ずかしかったのに、何故か途中まで一緒に上まで上がった。 私は7組。藤堂は3組だから途中でわかれるが、それまで一緒にいたせいですれ違う人達に好機の目で見られて疲れた。 きっと私を心配して挨拶してくれたのだろうが、その優しさが楓の好奇心を刺激してしまい面倒なことになった。 藤堂はこの学校トップ3に入るほどイケメンでモテる。 他の二人とは違いクールだと言われてるせいか、女子と話すことがほとんどない。 挨拶も友達以外には自分からしないことで有名。 それなのに、今日いきなり私に挨拶をした。 楓じゃなくても気になる人は多い。 「昨日、図書委員があったじゃん。そのときに、ね」 本当のことを言いたかったが、クラスのみんなが私の言葉に耳を傾けていたのを知っていたので誤魔化すしかなかった。 「そうなんだ。てか、珍しいね。藤堂が女子と話すのも珍しいけど、何より巴が男子と話したってことが。それで、一体どんなはな……イタッ!ちょっ!誰!?」 楓は急に頭に何かがぶつかり痛くて涙目になる。
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