裏切り

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「芹那」 「落ち着きなさい。廊下まで声が聞こえたわよ」 「え?まじ?」 「まじよ。話しは後すればいいでしょう。放課後空いてる?久しぶりに遊ばない?巴がよければだけど」 日曜日に大会があるので、練習が優先されるのはわかってる。 だからわざと遊ぼう言った この話しを終わらすために。 何があったのかは廊下を歩いているときに聞こえてきた声で何となく予想はついた。 巴と藤堂が仲良く歩いたら大事になるのはわかる。 現にそうなっているし。 だから楓を落ち着かせ、巴助けるために。 「うん。大丈夫だよ」 「え?本当?」 芹那は私の言葉に驚いて信じられないという顔をする。 「うん。私もみんなに話したいことがあったから放課後時間あるか聞こうと思ってたの」 「……」 「……」 二人は私の顔が暗くなるのを見て、昨日何かあったのだと察する。 藤堂と急に仲良くなったのもそれが原因だと気づいた。 なんて返事をするか迷っていたそのとき「おはよー」と桃花が元気よく駆け寄ってきた。 「おはよう。桃花。今日は珍しく遅いね」 「寝坊した。お陰で朝から全力疾走する羽目になったよ」 あちぃ。 そう言って教科書をうちわがわりにして仰ぐ。 「この間の私とは逆だね。それより桃花。今日の放課後予定ある?」 「ないよ」 「じゃあさ、久しぶりに遊ばない。二人からはもう許可は得てからあとは桃花だけなの」 「もちろん行く!あ、でも大丈夫なの?日曜、試合なのに」 「うん。大丈夫。何でかわからないけど負ける気しないし。それに帰ってからちゃんと稽古するし大丈夫だよ」 あの二人の怒りを試合にぶつける気満々なせいか、どうしても負ける気がしなかった。 それに、秋夜と別れることはちゃんと自分の口からみんなに言いたかった。 昼休みに秋夜に言うつもりだから、まだ別れてないけど。 それから先生が入ってきて授業が始まる。 今日はいつもより時間が経つのが早く感じてあっという間に昼休みになった。 私は弁当を一気に食べ、予定があるから抜けると言って教室を出て、体育館裏に行く。
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