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昨日の夜、秋夜にラインをした。
『大事な話があるから、明日の昼休み体育に来てほしい』
すぐに秋夜から返信がきた。
たった一言『わかった』と。
私達のラインは今思えば、ただの友達以下のようなやり取りだ。
ただ淡々とデートの約束と帰る約束をするだけで、その日に会ったことや何がしたいとかどうでもいい、くだらない話しをしたことが一度もない。
私はそんなやり取りだけでも幸せだったが、きっと秋夜は違う。
面倒くさいと思っていたと思う。
だから、私を裏切れたのだ。
そう思い、目の前の秋夜を睨みつける。
顔を見たらやっぱり好きってなるかもしれないと心配していたが、全くそんなことにはならなかった。
寧ろ顔をボコボコにしてやりたくて仕方なかった。
「一体こんなとこに呼び出して何のつもりだ?手短に話してくれよ。早く戻らねーといけねーからさ」
頭をかきながら面倒くさそうに言い放つ。
「心配ないわ。3秒で終わるから」
「3秒?それなら、わざわざこんなところに……いや、いいや。それで何だ話って?」
「別れて」
「……は?今なんて言った?」
「別れって言ったの。ほら、3秒で終わったでしょう。話しは済んだから、もう行くわ」
「待てよ!」
秋夜は立ち去ろうとする私の手を思いっきり掴む。
「触らないでっ!」
私は掴まれた瞬間、その手を振り払う。
秋夜に触れられてせっかく思い出さないようにしていた嫌な記憶が一瞬で呼び起こされた。
その手で茜を抱きしめた。
その唇で茜にキスをした。
あなたは私を裏切った。
そんな汚い手で私に触れないで!
私は秋夜を睨みつける。
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