裏切り

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時は遡り4日前前。 「ねぇ、巴」 「なに?桃花(ももか)」 同じクラスで中学から仲の良い桃花に声をかけられ顔を上げる。 「確か今週の日曜だったよね?空手の大会」 「うん。そうだよ」 「え?なに?今週の日曜なの?急いで彼氏にやっぱりデート無理って言わないと」 高校生になってから仲良くなった楓(かえで)がスマホを取り出し彼氏にラインをする。 「え?そんないいよ。デートの方を優先しないよ」 彼氏に申し訳なくてそう言ったのだが「なに言ってんの!巴の試合を見る機会なんてそうそう無いんだよ!デートはいつでもできるんだから、今回は諦めてもらうの!」と何故か怒られてしまい「……そう。ありがとう」と楓の圧に負けてそう言ってしまった。 「馬鹿ね。ちゃんとメモしとかないからそんなことになるのよ」 同じく高校から仲良くなった芹那(せりな)がスマホのカレンダーアプリを見せながら言う。 「仕方ないでしょう。スケジュール管理苦手なんだから」 「なにそれ。せっかくアプリ取ったのに意味ないじゃん」 「取っただけで満足するタイプよね。楓は」 芹那の言葉に桃花が同意する。 「二人とも酷くない」 「「全然。寧ろデートの約束を断られる彼氏の方が可哀想」」 桃花と芹那は同時に同じことを言う。 「……確かにそうだけどさ」 楓は口を尖らすもすぐに開き直ってこう付け足した。 「まぁ、でも私の彼氏はちょー優しいから許してくれるわ」 「……」 「……」 その言葉を聞いた瞬間、二人の目は冷たくなった。
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