藤堂side

2/2
前へ
/124ページ
次へ
「体育館裏か……漫画やドラマの世界だったら、告白が定番か」 異性からの呼び出しとなると告白が一番最初に頭に浮かぶが、呼び出した人物もありないとわかっているが、状況が状況なだけについそう考えてしまう。 暫くすると桜庭がきた。 大丈夫かと心配で建物から少し顔を出して様子を見ると、初めて見る怒り顔にあんな風に怒るだと関係ないことを思ってしまう。 最初は心配で後を追ったが、これなら大丈夫だと思った。 二人の問題に自分がこれ以上聞くのはおかしいと思いその場を立ち去ろうとしたそのとき、「触らないで!」と桜庭の悲痛な叫びが聞こえた。 何があったのか目を離していたのでわからない。 今すぐ助けに行くべきかと悩んでいると、今度こそ話が終わったのか桜庭はその場から立ち去り、秋夜はその場に立ち竦んでいた。 桜庭のことが心配で秋夜を置いていき、後を追うもそこには三人の女友達がいて俺の出る幕はないと感じ教室に戻った。 何故か体育館裏に行くときの足取りとは違い軽かった。 胸のとっかかりもなくなり気分が良かった。 「お、蓮。もう終わったのか?」 「……?」 教室に戻るなり蒼に話しかけらるも何を言っているのかわからず首を傾げる。 「さっき職員室に行くって言ってたじゃん。呼び出しじゃなかったのか?」 'ああ、そういえばそんなこと言ったな' あの場から抜け出すために適当に嘘をついたことを忘れていた。 「ああ。呼び出しだった」 「それで何だったんだ。ようは」 「さぁ?聞いてないからわからん」 「はぁ。またかよ。それにしても何でこんな態度なのに蓮は怒られないんだ。俺が同じようにしたら怒るくせにさ。贔屓だ。贔屓」 蒼は泣き真似をして可哀想アピールをする。 「うるさい。馬鹿なこと言ってないで、さっさと席につけ」 涼介が蒼の首根っこを掴む。 俺は助かったと思い、そのまま蒼を涼介に押し付けることにした。 二人は他人が聞いたら馬鹿馬鹿しいことで言い争いをし始めた。 俺はそんな二人の言い合いを聞き流しながら、桜庭が傷ついていないか心配だった。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加