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「暗くなったね。この話しはこれで終わりにしよう。楽しい話しをしよう。ね?」
三人の顔は「人を殺してきました」みたいな顔で怖い。
話題を変えることでいつものような顔に戻そうとする。
「そうね。クズの話しをやめて楽しい話しをしよう」
楓の表情が一瞬で元に戻る。
「いいね。そうしよう。あ、そういえば林間学校もうすぐあるじゃん」
本当は一年生のときに行くはずだったが、地震の影響でなくなり今年になった。
その話しをしようと思っていたことを思い出した芹那は話題提供に丁度いいと思い話す。
「ああ。そういえばそうね。でも、もうすぐじゃなくて3ヶ月後なんだからまだ先じゃない?」
桃花が言う。
「そうだけどさ、今回私達が行くところは例年と違って海があるじゃん。一年生がいつものところ行くからさ」
「そうね。それで?」
芹那が何を言いたいのかわからず桃花は首を傾げる。
「それでじゃないよ!海だよ!海!」
「だから?」
林間学校と海が何の関係があるのかと尋ねる。
何となく芹那が言いたいことはわかるが、それは実現しない。
桃花は呆れた顔で芹那と楓を見る。
「海で遊べるってことよ!」
「それは多分無理だと思うよ」
興奮する二人を落ち着かせるように私は口を開く。
「無理って何で?」
無理な理由がわからない楓がそう言う。
「確かに私達が行く場所の近くには海があるけど、泊まる場所は海の近くじゃなくて山の中じゃん。場所が違うだけでやることは例年と同じだよ。だから……」
「海は関係ないのよ」
桃花がビシッと二人に言う。
「「そんな〜!」」
二人は桃花の言葉を聞いて項垂れる。
「せっかく海に入れると思ったのに……」
「まぁ、そんなに落ち込まないで。学校とは関係なく遊びにいけばいいじゃん。ね?」
私がそう言うと落ち込んでいた二人はどこにいったのか、目を輝かせて「そうしよう」「いつ行く?」と一瞬で元気を取り戻した。
まだ当分先の夏休みの予定が決まった。
今から楽しみで、水着を買いに約束もした。
秋夜と別れて半日もたっていないが、そんなことがどうでもよくなるくらい楽しかった。
三人と友達になれてよかったと思った。
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