111人が本棚に入れています
本棚に追加
日曜日。大会当日。
「巴。応援きたよ」
桃花は私を見つけると嬉しそうに声をかける。
芹那と楓も笑顔で私の名を呼ぶ。
「ありがとう。頑張るね」
私は三人にお礼を言う。
少しだけ談笑してから、もうすぐ順番が回ってくるためわかれる。
軽く体を動かして試合に備える。
前の試合が終わり、とうとう自分の番が回ってきた。
私がコートの上に立つと桃花達の応援の声が聞こえた。
それだけで勝てる気がした。
審判が「始め!」と言った瞬間、私は相手に強烈な一撃を与えた。
相手は私の蹴りに耐えられず吹っ飛ぶ。
その一撃に相手選手は立てず、試合は終わった。
あっという間の出来事に審判も2階から見ていた人達もただ呆然とその光景を眺めていた。
ただ、桃花達三人を除いて。
三人は私の瞬殺に黄色い歓声を上げて喜んでいた。
審判の号令で試合を終えコートから出て2階へと戻る。
そのとき、審判をしていた人達は私の後ろ姿を見て「今日のあの子はいつも以上に鬼気迫るものがある。自分が対戦相手だったらと考えるだけで恐ろしい」と相手選手の子に同情した。
その後の試合も全て最初の試合と同じですぐに終わった。
最初のコメントを投稿しよう!