大会

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「巴。お疲れ様。優勝おめでとう!」 楓が勢いよく私に抱きつく。 「ありがとう」 優勝は嬉しいので素直に受け取る。 だが、今はそれより早くここから離れたかった。 「三人共早く焼肉に行こう。荷物とってくるから待ってて」 「わかった」 桃花がそう言う。 私は3人に玄関先で待っているようにいい、急いで荷物を取りに行く。 荷物を取りにいき、玄関に向かうまでに結構な人に「おめでとう」と言われ「ありがとう」と返事したため時間が少しかかってしまった。 どうか会いませんようにと祈りながら、階段を降りたが最悪なことに建物の外の入り口付近を陣取るように秋夜達はいた。 'ヤンキーかよ!' そう悪態つきながら桃花達への元へと向かう。 桃花達も秋夜に気づいているからか、物凄い顔で睨みつけていた。 そのとき芹那が私に気づき、サッと近寄り秋夜達が見えないよう右側に立った。 私はその優しさに感謝し、甘えることにした。 気づいてないふりをして、そのまま建物から出ようとするが、茜が私の前に立ち「優勝おめでとう」と言った。 ーーどの口が言ってる! ーー私のこと裏切っといてよく何事もなく普通に話しかけられるわね! そう言って茜の頬を打ちたかった。 だが実際に私がとった行動はその想いとは逆だった。 無表情で茜を見たあと、そのまま通り過ぎた。
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