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「ねぇ。そう言えば巴。彼氏と別れたみたいよ」
女は帰る準備をしているときふと思い出しそう言った。
今日は巴と当たらなかったが、会ったときにいろいろ話していて今日は惚気話がないなと思い聞くと別れたと言われた。
まずいこと聞いたかと焦ったが、なんともない顔をしているのを見ると巴から振ったんだとわかり安堵する。
これ以上聞くのは傷つけることになると思い、詳しくは聞かなかったから別れた理由は知らない。
「嘘だ〜。あんなに惚気ていたのに別れるわけないじゃん」
「それが、嘘じゃないのよ。巴本人が言ったんだから」
「え!?それまじで!?なら、本当じゃん!でも、なんで?」
「わかんない。詳しくは聞かなかったから。でも、この事実が広まるとさ……」
「うん。そうだね」
「黙ってないよね。男達は」
「このチャンスを逃すわけないよね」
「巴は大変だね」
「本当にね。でも、あれだけモテるのって少し羨ましくない?」
「それはわかる。でも、本人は気づいてないよね」
自分にファンがいることにすら気づいていない。
試合の時に応援してもらえるのは自分が毎回優勝するからだと思ってるくらいだし、と女達は呆れる。
「そこが巴の良いところで悪いとこ。可愛いけど可愛くないところだよね」
「まぁね。自分の好きな男が巴のことを好きな女子達にはちょっと酷な話よね」
これから大変なことになるな、とどこか楽しそうに笑う二人は一応巴の味方だが、一番は面白いことが優先だ。
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