大会

15/19
前へ
/124ページ
次へ
ガタッ。 女達が話していると後ろで椅子から男が立ち上がった。 「……もしかして聞かれた?」 「聞かれたかも」 「あれ、絶対巴のファンの男だよね。中学から毎回試合を見にきてる」 「うん。間違いないね。だって全身黒の男って言ったら、巴のファンって有名じゃん」 男の格好は黒い帽子。黒いマスク。黒い服。黒いズボン。黒い靴。 全身黒コーデと怪しい格好だが、巴がいる大会に毎回来るのでファンなのだと選手、監督から認知されている。 何で毎回その格好なんだと?最初のころは不思議で堪らなかったが、きっと恥ずかしくて顔を見られたくはないか、気づいてほしくてその格好をしているのだろうと無理矢理結論を出し、それ以上考えるのを放棄した。 「ねぇ。あの人もこのチャンスに動くと思う?」 「それはあの人が自分のことをどう思ってるか次第じゃない?巴は容姿に無頓着だから、他人の顔なんて何も思わないじゃん。高校生なのに、メイクもしないし」 「まぁね。でも、すっぴんでメイクする私達より可愛いんだよ。ちょっと、てかかなり羨ましいよ」 「でも、どんなに可愛い子や美人な子でもこの歳になるとほとんど興味持つじゃん。……いや、話し逸れたじゃん。そうじゃなくて……あれ?なんの話してたっけ?」 話がそれたせいですこし前に話していたことを忘れる。 「次の彼氏は誰かって話だよ」 「ああ。そうだったね」 彼女達はそこから巴の彼氏は誰がいいか話しだすが、結局誰がいいか決めるのは本人だと結論づけ話しを終わらした。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加