裏切り

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次の日。 寝坊した。時計が壊れてアラームが鳴らなかった。 今日に限ってじぃちゃんがいないから最悪だった。 いつもなら、時間になっても起きてこなかったら布団を剥ぎ取り無理矢理起こす。 そのお陰で遅刻を何度か免れた。 だけど、今日はそうもいかない。 私は急いで着替えて朝ご飯を食べずに家を出た。 自転車を思いっきり漕ぎ、なんとか間に合った。 教室に入った瞬間にチャイムが鳴り、本当にギリギリだったと冷や汗が流れた。 「おはよう。巴。どうしたの?髪ボサボサじゃん。寝坊でもした?」 桃花は私の髪を見て笑う。 「うん。そうなの。よりにもよってじぃちゃんがいないときに時計が壊れてさ。最悪だよ。本当に」 髪を手でとぎながら席に座る。 「ありゃあー。それはご愁傷様」 桃花は手を合わせて憐れむ。 「お陰で朝ご飯も食べれなかったのよ。お腹空き過ぎて最悪だよ。昼までもつかな?」 「仕方ない。哀れな子にお菓子を恵んで差し上げよう」 鞄からグミを取り出し私にくれる。 「ありがとう。これでなんとか昼までもつ……かはわからないけど助かったよ」 「うむ。感謝するのだぞ」 「はい。桃花様」 私は感謝して封を開けグミを口に入れる。 そうしてグミでなんとか空腹を誤魔化し続け、ようやく昼食時間になった。 基本教室で食べるが、今日は私と桃花が弁当を持ってきてないので食堂で食べることにした。 久しぶりに学食を使う。 楓と芹那には席を確保してもらい、私達は全力で走って食堂に向かい列に並ぶ。 チャイムがなってすぐ教室をでたのでそんなに待つことなく注文できた。 私は朝からグミしか食べてないのでお腹が空き過ぎてカツ丼を注文した。 桃花はカレー。 良い匂いすぎて早く食べたい。 二人が確保した席に向かおうと移動しようとしたとき「巴?」と後ろから声をかけられた。
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