大会

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「ただいま。帰ったよー」 「おお。お疲れ様。うん。毎回焼肉臭いな」 リビングに入るなり失礼なことを言われる。 「仕方ないじゃん。焼肉行ったんだから」 「うん。まぁ、そうじゃな」 「てか、どうしたの?どこか出かけるの?」 祖父の格好が甚平ではく、お出かけ用だった。 「ああ」 「晃(あきら)さん達と?」 晃は祖父の幼馴染だ。 「そうじゃ。今日は大人の飲み会じゃ」 「晃さん達に迷惑はかけないでよ。面倒くさいから」 「ああ。わかっとるわい……ん?何故ワシが迷惑かける前提なんじゃ。かけないかもしれないじゃろ」 私は祖父の言葉に呆れて何も言えなくなる。 「なんじゃ。その目は。そんなにワシのことが信じられんか」 「自分の胸によーく聞いてみて」 私がそう言うと祖父は手を胸におく。 「……聞いた」 「それで?」 「問題ないと」 祖父は笑顔を浮かべる。 ぶん殴りたくなるほどいい顔だ。 「……酔っ払いは記憶がなくなるから幸せものね。とにかく、今回も迷惑かけたら半年間、じいちゃんが家事全般担当してもらうから」 「……わかったわい。迷惑かけんかったらいいんじゃろ」 「言っとくけど、晃さんに達を買収しても無駄だからね」 祖父は私の言葉に心の中で舌打ちをする。 買収して迷惑をかけてなかったと証言させるつもりだったから。 「そんなことはせんわい。ワシは男の中の男じゃぞ」 「そう」 「だから、なんじゃその目は。もういい。ワシはもう行く」 「はいはい。行ってらっしゃい。帰ってきて前回みたいに五月蝿かったら追い出すからね」 祖父は「わかっとるわい」と言って出ていく。 「さっさと風呂入って寝よう」
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