祖父side

1/1
前へ
/124ページ
次へ

祖父side

ほんの少し前。巴が家に帰る前。 「うーん。巴は大丈夫か?彼氏と別れたって聞いたが……そもそも、何故別れたんだ?」 祖父は今日、友達から「巴ちゃん。彼氏と別れたそうだよ。理由は知らないけど」と教えてもらった。 本人は隠しているつもりだろうが、3ヶ月前から顔が気持ち悪いほど緩んでいたり、スマホを見てはニヤニヤしていた。 誰が見てもすぐに彼氏ができたんだとわかるくらい浮かれていた。 巴にも春が来たのだな、と喜んでいたのに何故急に別れたんだ? もしかして振られたのか? 巴は大丈夫なのか? と心配で今すぐ迎えにいくべきか玄関前で悩んでいると巴の声が聞こえた。 そーっと玄関の扉を開け、外を見ると物凄い顔の整った男の子と話しているのがみえ、慌てて扉を閉める。 「なんだ。別れてすぐイケメンと付き合ったのか。我が孫娘ながらやるな」 振られたのではなく振ったのだとわかりホッとする。 それから帰ってきた巴に「彼氏か?」と尋ねるも「違う」と否定され、なんだ違うのかとガッカリした。 前の男より顔はいいし、女の子一人で帰さない優しさもある。 今の男なら喜んで認めるのにな、と思う。 本当に違うのか、ともう一度尋ねるが呆れ顔で「違う」と否定され残念だ。 付き合う男はワシのようにいい男を選べよ、と心の中で語りかけながら見守ることにした。 だが、どうしても一つだけ心配なことがある。 それは男を見る目が巴にはないということだ。 あんないい男を好きにならなくらいじゃからな。 そう思うと、またため息をついてしまう。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加