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「そういえばさ、3人って図書委員なんだよね」
楓は急に私と藤堂と薺の共通点を思い出し、そう尋ねる。
「そうだね……」
ハハッ、と私は乾いた笑みを浮かべる。
この空気に耐えられず私は早く昼休みが終わってくれと祈る。
「3人一緒に仕事したこととかあるの?」
「ないかな。基本、2人1組でだし。たまに、本の入荷だったり、掃除だったりで大勢でやることはあるけど……」
'そういえばこないだ、一緒に本の入荷の整理したな'
私の説明を聞きながら藤堂はあの日のことを思い出す。
そして、そのあとの浮気現場を目撃し彼女の傷ついた顔を思い出し、あの二人に対しての怒りがまた込み上げてくる。
「基本じゃんけんで負けた人がやるね」
薺がニコッと笑う。
「だね」
「図書委員って思ったより大変なんだね。でも、巴去年もやってなかった?」
「うん。私は本好きだからね。苦じゃないよ。それに図書委員だと一番最初に新刊借りられるからね」
それこそ私が図書委員になった理由だ。
「相変わらず本好きだよね」
楓は漫画は好きだけど小説は読まないので、一ヵ月で何冊も読む巴のことを尊敬していた。
「うん」
「へぇ。本好きなんだ」
薺が言う。
「うん」
「ならさ、おすすめの本教えてよ」
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