モテ期!?

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「茜」 少し声が固くなる。 どうしてここに?と思ったが、よく学食で昼は食べると茜が言っていたのを思い出した。 「珍しい組み合わせだね。なんの話をしてたの?」 茜は腰を曲げて上目遣いで「ん?」と可愛らしい顔をする。 いつもの私なら「茜は可愛いな」と思っていたが、人の彼氏とキスしていたところを見たあとではただの「クソ女」にしか見えなかった。 私はそうでも、他の人達は違うだろうなとチラッとみんなの顔を見ると、私以上に酷い顔をしていた。 真正面に座る三人は無表情、右隣の藤堂は顔を背けていてよくわからないが、苛立っているのが雰囲気から伝わってくる。 唯一、左隣の薺はよく茜達のグループと遊ぶからかにこやかに話していた。 その姿を見て私はホッとした。 薺がいなかったら自分が一人で相手にしないといけなかった。 とりあえず、話しは薺に任せようと思い、卵を食べようとしたら、茜が急に変なことを言い出して咽せてしまう。 ゴホッ。ゴホッ。 私は水を飲んで落ち着かせる。 「……今なんて言った?」 どうか聞き間違いでありますように、そう祈ったが私の祈りなど意味はなかった。
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