藤堂side

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昨日は風邪で休んだから、別れた噂話が流れたと知ったのは今日だった。 大丈夫かと心配で朝早く学校にきたが、話すタイミングなく昼休みまで話しかけられなかった。 顔見るまでは心配だった。 でも、元気そうで安心した。 自分でもなぜこんなに心配だったのかよくわからなかったが、すぐにあの浮気現場を一緒に見たからだと思い納得した。 ただ、一つだけ引っかかることがあった。 薺がおすすめの本を紹介してくれって言ったときだ。 俺だって言ったのに…… あのときチャイムさえならなければ、俺にもおすすめの本を紹介してくれたのだろうか。 そう思うと、急に胸のあたりがモヤッとして気持ち悪くなる。 なんだ?とその感情の正体がわからず首を傾げる。 少しして何ともなくなり、ご飯の食べ過ぎたせいかと気にしないことにした。 教室から窓の外を見ていると、桜庭達が走って移動しているのがみえた。 あと1分で授業が始まるというのに。 あんなに余裕をもって学食からでたのに走って向かう姿を見て、ついぷっと吹き出してしまう。 「ん?急に吹き出してどうしたんだ?」 前の席の涼介が不思議そうに尋ねる。 「いや、なんでもない」 そう答えるが、目はとても優しく外を見ている。 涼介は何を見てそんな目をしているのか気になり、窓の外を見る。 するとそこにいたのは学校一の美女グループとして有名な女子達だった。 涼介は彼女達を見た瞬間、ピンときた。 'ついに、こいつにも春がきたのか'と。 相手が誰か気になるが、まずは本人が自覚するまでは待とうとソッとすることにした。 涼介はそう決め、前を向くがすぐに蒼に「蓮に春がきた!」とハートマークのスタンプとともに連絡した。
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