裏切り

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「……えー、それでは皆さん。体力テスト頑張ってください」 校長の長い話しが終わり、体育委員の指示に従って移動する。 普通は男女に別れて体力テストをするが、2年だけ女子が多いため、私達のクラスだけ女子クラスだ。 そのため、出席番号前半後半に別れて移動する。 私は前半、三人は後半なので今日一日は別行動だ。 「じゃあ、三人共頑張ってね」 「うん。巴もね」 「後でね」 「ご飯の時間までじゃあね」 三人と別れて、最初に決められた種目の50m走の場所に移動する。 先生の指示に従い種目をしていく。 今の自分の実力が知れて嬉しいからか、あっという間に時間がすぎていき、気づけば4時間目の授業の終わりのチャイムが鳴った。 「チャイムは鳴ったけど途中までやってるから最後までやって終わろう」 反復横跳びは2回やらないといけない。 1回目が終わったところでチャイムが鳴った。 また午後にあと1回のためだけに並ばないといけないのは、みんな嫌だったので誰も文句は言わずに2回目を終えてから教室に戻った。 「お疲れ。遅かったね」 教室に戻ると桃花が最初に気づき声をかけた。 「うん。反復横跳びの1回目でチャイムが鳴ったから、2回目やるまで終わらなかったの」 「ああ。それはどんまい」 楓は私の肩をポンポンと叩く。 「本当だよ。お腹空き過ぎて途中から大変だったのに」 私は鞄から弁当を取り出す。 「想像つくわ。お腹の音鳴らしながらやってる姿」 楓が目の前で爆笑する。 「笑い事じゃないよ。本当に大変だったんだから」 お腹が空き過ぎて途中でお腹が痛くなった。 何でもいいから食べたかったのに、体力テストのせいで教室に戻れなくてどれだけ大変な思いをしたか。 「まぁ、でも腹が満たされれば午後からのは問題ないでしょう」 芹那の言葉に私は自信ありげに「もちろん」と答える。 私のドヤ顔に三人は笑う。 私もつられて笑う。 午後の授業が始まるまでたわいもない話しで笑った。 楽しい時間はあっという間に終わる。 チャイムが鳴り私達は腰を上げ残りの種目を終わらすため、また体育館へと向かう。
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