茜side

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茜side

「……やっぱり、バレたのね」 巴の後ろ姿を眺めながら、秋夜との浮気を知られたと確信する。 秋夜とはキスまではした関係だ。 それ以上はしていない。 「問題はどこまでバレたかだわ」 巴の性格上、他人に聞いたくらいでは信じない。 自分の目で見て、自分の耳で聞かなければ、それまでは例えどれだけ仲の良い友達の言葉でも信じることはない。 だから、これは確実だ。 秋夜と浮気しているところを見られた。 だが、問題は巴がどういう場面を見たかだ。 手を繋いでいるところ? 抱き合っているところ? デートしているところ? それともキスをしているところ? キス以外ならなんとか誤魔化せるが…… もしキスしたところを見られたのなら、今までのように元通りとはいかない。 「ダメ!そんなの絶対ダメ!」 このまま巴が自分から離れていくのが許せず、どうにかして元通りにしないとと思っているときスマホが鳴った。 こんなときに誰よ、と苛立ちながら確認すると相手は秋夜からだった。 最初は無視しようかと思ったが、ここで邪険に扱えば後々面倒になるかもしれないと思い電話に出る。
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