体育祭

1/29
前へ
/124ページ
次へ

体育祭

「そういえばさ、一ヵ月後に体育祭あるじゃん。今年も一緒の組になれるかね」 楓がニシシッと少年のように期待に満ちた顔で笑うが、私達はわかっていた。 それは絶対にないと。 夢をぶち壊すのはよくないと思い黙っていたが、朝礼が終わり先生が「体育祭の色分けが決まったから自分の組みを確認しとけよ」と言って紙を張り出した。 それを見た楓はこの世の絶望みたいな顔でゆっくり席に戻った。 私達はその顔を見てやっぱりな、と思いながら自分の組みを確認した。 組みの色は全部で6色。 赤、白、青、黄、緑、紫。 私は青。桃花は白。芹那は黄。楓は緑。 予想通り、全員バラバラだった。 こればっかりは仕方ない。 去年のリレーで私達、4人は無双した。 この学校の体育祭のリレーは4種類ある。 一つは組み別。これは当たり前だ。 残りは、部活、学年、クラスがある。 私達は、組み別、学年、クラス、全てに出て全てに貢献した。 組み別は最初の一年だけで結果が決まるほど圧倒的だったため、来年は絶対に同じ組みにはしてもらえないだろうなと思っていた。 他の種目でもリレーほどではないにしても無双していたので、こうなるのは当然だ。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加