体育祭

4/29
前へ
/124ページ
次へ
「君は青組だと聞いた。本当か?」 「はい。それがなにか?」 「そうか。なら、単刀直入に言う。応援団に入ってくれ」 「え、嫌です」 即答する。 応援団になれば放課後練習が必須だ。 稽古や練習生たちの相手ができなくなるのはなるべく避けたい。 なにより、菖蒲と関われば間違いなく3年の女子の怖い先輩たちから目をつけられる。 それでなくても藤堂と薺のせいで一部の女子たちから目の敵にされておるのに、菖蒲まで加わったら考えるだけでも恐ろしい。 「どうしてだ?」 '面倒くさいからって言ったらダメだよな' 「応援団になったら放課後は練習しないといけませんよね。私、放課後は空手の稽古があるんです。それに、私よりやる気があってやりたい人がやった方がいいと思います」 だから無理です、と言った。 ここまで言えば諦めてくれると思ったから。 「そっか……稽古か……」 私が空手で何度も日本一になったことを知っている以上、邪魔するのは駄目だと思ったのか、菖蒲は諦めたような顔をする。
/124ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加