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(目、目が合った! ヤバイ! オレ、寝癖!!)
美少女はオレを見つけるとニッコリと愛想のいい笑みを浮かべて、テンテンテンと小走りで駆け寄って来る。
うわぁ、何コレ、可愛いんですけど!!
「騒がしくして すみません。今日、隣に越して来ました、中都と申します」
「ぇ、ぁ、ど、どぉも! 隣に住んでおります、石神ですっ、」
「もうじき引越しも終わりますので、」
「いやいや! 別に! お気になさらず、ごゆっくりどーぞ! 何なら手伝ってもイイし、何ちゃってアハハハ!」
(可愛いけりゃ許す。それが男です。オレは鬼畜男子です。あ。オッサンです)
オレが調子のイイコトを言えば、美少女・中都サンは一層 笑みを深くする。
何かな天使かなキミはぁ!!
「本当ですか!?
家具は業者サンに配置して貰えるから良いけど、他にも重たい物はあるし、どうしようかと思ってたんですよね、手伝って貰えるなら大助かりです!」
「ぁ、え?」
「お隣サンが親切な人で良かったぁ!」
「あぁ、えぇ、お手伝い、ハイ。喜んで……」
(マジで? 本気? オレは本気にされてもシメシメだけど、イイの?
隣に住んでるってだけで、安全な男って確証はねぇですよ?)
中都サンはまるで妖精のようにクルリンと踵を返し、任務を全て終えた引越し業者に深々と頭を下げる。
礼儀正しい中都サンにヘラ~~っと笑って手を振り返す業者の連中と来たら、オレと同じく下心満載。
「じゃ、石神サン、お願いします!」
「ぁ、はい! はいはい!」
どうぞ、と招かれ、初の隣室へ。
部屋の間取りは殆ど同じ。家具もシッカリ配置されちゃいるが……
シックなダークカラー。ロココ調? まぁ、そんな感じのブルジョワ系?
(場違いに高価な家具だコト)
で。もっと意外な物を発見。
「ピアノ!?」
やったら嵩張るグランドタイプのデジピアノ!!
コレ、めちゃくちゃ高いヤツじゃん! オレが欲しかったヤツじゃーーん!
中都サンは終始 笑顔で頷く。
「趣味でピアノを弾いてるんです」
「そ、それにしても立派なモンを お持ちでぇ……」
「父が引っ越し祝いにとくれたんです」
「ス、スゲェお父サンでぇ」
娘の引っ越し祝いに……って、金銭感覚どーなっちゃってますか?
この襤褸アパにコレはナイでしょ。
どーせならデザイナーズマンションとか買ってやったら どーですか。
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