焦げついた思い

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「彩愛」 お店から出たあたしの背中から、聞き飽きたような声が降ってくる。 「どーしたの」 なんだか振り向いたら泣いちゃいそうで、そのまま返事をする。 「暫く会えなくなるからさ」 「そっか」 「本当はずっと言おう言おうとしてたんだ」 「ふーん」 「いよいよ今日になっちゃって、タイミング狙ってたら焦がすし」 「はは、それで焦がしたんだ」 振り向かず話してるから翔生くんがどんな顔をしめるかもわからないけど、こっちがどんな顔をしているかも分かられたくない。 「言ってなくてごめん」 「仲良いつもりでいたからさ、ちょっとショックだった」 本当はこんな形で知りたくなんてなかったけど、もしあの2人がきてなかったら次行ったときに翔生くんがいなくて知るのかな。 ちょっととは言ったけどだいぶショックだけど、あたしには「待ってるね」も「行かないで」も言う権利はないし、そんなこと言うつもりもない。 「お前にだけはちゃんとしたのかたちで言おうと思ってたらいえなかった」 「そっか。頑張ってよ」 「最後くらいこっち向けよ」 ぐいっと肩を掴まれて、無理やり振り向かされる。 次の瞬間、あたしの顔をみて目を見開く翔生くん。 「……お前」 「だから、向きたくなかったの!じゃあね!」
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