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「え?結婚って?」
「ついてきてくれないかって」
「……嘘だ」
何も言ってくれなかったくせに、教えてくれなかったくせに、追いかけてくれなかったくせに。いろいろ言いたいなになにも言葉にはできない。
「……好きなんだよ、彩愛が」
「そんな素振りみせてない」
「見せれるわけないだろ。俺だぞ」
「あたしにだけ教えてくれなかったじゃん。アメリカだって。それがどんなに悲しくて、もう好きなのやめようって何度も思った」
「本当はついてきて欲しかったし、待っててほしかった。でもそんなこと言うの俺のエゴかなって思ってなにもいえなくなった」
焼きあがったつくねを皿にならべてあたしの前に置く。
「俺、お前のことめちゃくちゃ好きなんだよ。本当に好き。大好きなんだ」
「ちょ……もう大丈夫……お腹いっぱいです」
あたしへの愛の言葉を言い告げる翔生くんに、もうどうにかなってしまいそうだったのでまずは「つくね食べる」って翔生くんから目逸らす。
「結婚して一緒にこの店やってほしいんだけど」
「あたし焼けない」
「いいよ。接客してくれれば。お前がいるだけでやる気が出る」
「……っ、そんなに言うタイプじゃなかったじゃん。欧米スタイルか?」
「まぁ、あっちは結構オープンだったな。でももう後悔したくないから」
あたしの前に「ここじゃムードないけど」って箱を置く。
「聞いてないよ……」
「プロポーズするって宣言するやついねぇぞ」
いつからだったのかとか、色々聞きたいことはある。
でも、とりあえずはこの指輪を受け取るとこからじめようか。
「バカ、あたしも好きだよ」
-Fin-
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