命の選択

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 トロッコ問題をご存知だろうか?  多くの人の命を救うためには少人数の命を犠牲にしてもよいのか、という倫理学上の問題だ。  制御不能の暴走トロッコ列車が線路を走ってきた。この先の線路では五人の作業員が工事をしている。列車を脱線させることはできず、また、作業員を避難させることもできない。あなたの近くには、線路を分岐させるポイント装置があり、そのレバーを引くと、暴走列車の進路を変えることができる。ただし、変更した先の線路には一人の作業員がおり、この作業員も避難できない。  このまま何もしなければ五人が確実に死亡する。一方、あなたがレバーを操作すれば一人が確実に死亡する。この状況であなただったらどうするか。ただし、いずれの行動も罪に問われないものとする。  取り得る選択肢は二つに絞られる。 A 何もしなければ五人が死ぬ。 B 行動を起こせば一人が死ぬ。  少しでも死亡者を減らそうとするのであれば、レバーを引くことになるが、そうすると死ぬはずではなかった一人を死なせてしまうことになる。  あえて運命に逆らわず、そのまま五人が死亡するべきだという考え方もある。    これが、トロッコ問題だ。
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