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警察は、現場検証を行った。
狭山が進路を変えた先には、やはり一人の作業員、川村一太がおり、残念ながら轢殺されてしまっていた。
車両の管理者は、車両をしっかりと停めていなかった責任を問われ、刑事告訴された。
管理責任者には業務上過失致死傷罪が適用される見通しとなった。
分岐を操作した狭山も警察の取り調べを受けたが、やむを得ない事情であったことを考慮され、起訴猶予処分となった。
これで犠牲者が出ていなければ、狭山は五人の命を救った英雄になれるはずであった。
しかし、一人の作業員の命が失われてしまった。
一方、犠牲になった川村には労災が適用されると共に、会社から多額の金員が川村の遺族に支払われた。
助かった五人とその家族は狭山に感謝したが、川村の犠牲のもとに成り立っているので、会社内の雰囲気は微妙であった。
狭山が取った行動は適切であったのか否か、それについて上司たちは言及を避けた。
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