女友達に話したら

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女友達に話したら

「黒い部屋、ねえ」  昔馴染の友達は、私の話に曖昧に頷いていたが、すぐに目線をイカ墨パスタに戻した。私も友達も魔法大学に通う学生なので金欠だが、たまにはカフェでランチも悪くない。 「夢の中の記憶一切覚えていないタイプ、って言っていなかったっけ?」 「だから気味悪いんだよ」 「黒い家に住んでいる知り合いはいないの? 丁度このパスタみたいな黒色のさ」  友達は細く噛み応えのありそうな麺を、フォークで二、三回巻き、口の中へ入れた。 「うーん、いない」 「まあ、中々のモノ好きじゃないと真っ黒い窓無しの部屋なんて造らないか。……あ」  友達が何か思い出したように目を開く。私は何々、と訊きながらオレンジジュースが注がれたグラスに口をつけた。 「サイコパステストって知ってる?」 「……なにそれ」 「異世界の地球って惑星で暮らす人々が開発した、簡易テスト。めっちゃ簡単に言えば、サイコパスかどうかわかるクイズ。異世界の人って心理テストとか簡易診断ってやつが好きらしいね」  私も地球について勉強中の身だ。何でも、その異世界に人を転送できるワープホールが発見され、世界と世界でのやり取りが行われているそうな。 「基礎中の基礎だと、もしサイコパスが服を購入するならば何色を選ぶ、っていう」 「奇抜な色とか?」 「ううん、赤や黒だよ。仮に服に血が飛び散っても、見えにくいから。サイコパスに限らず、殺し屋とかもそうだろうけど」  私は首を傾げながらフォークで巻いたペスカトーレを口に運ぶ。友達はニヤリと悪い笑みを浮かべた。 「その部屋の黒は、全て血飛沫が……なんてね。冗談だけど」
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