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「俺、雨男なんだ」
入学してすぐ仲良くなった友達がそう言った。
普段は別にどうということもないけれど、友達にとって、何か特別な行事があると、必ず雨が降るのだという。
「さすがに振替の時は降らないんだけど、運動会とか遠足とか、最初に予定してた日は必ず雨が降るから、周り中から、『お前はそういう時は休め』って言われたよ」
笑い話にしてはいるが、これはかなり傷ついただろうな。
でも、何かあると雨に降られる人っているけれど、そんなの本人のせいじゃないんだから、周りも酷いことを言うよな。
俺もこの時はそう思ってたんだけど、実際、そいつの雨男ぶりは凄かった。
遠足や体育祭の前日、どんなに晴れていたとしても、当日の朝には雨か降り出すのだ。
クラス中、いや、クラス外の奴もこのエピソードを聞いているから、『この天気はアイツのせいだよ』と陰口を叩く。
「本人が一番気にしてへこんでるんだから、そんなこと言うなよ」
そう庇った瞬間、友達の表情が感謝に満ち溢れた。どうやら今まで、こんなふうに言ってもらったことがなかったらしい。
「〇〇、ありがとう…」
感動しきった顔で友達が俺を見る。そしてこの日以来、雨はずっと降り続いたままだ。
友達が雨男と呼ばれる体質だとしても、何か特別な行事かある訳じゃないから、毎日雨が降り続きのはこいつのせいじゃないだろう。だとしたら、この雨はどうしてずっと降り続けてるんだ?
毎日疑問に思っていたが、その謎はある日ふいに解けた。
「今日も雨だな。俺が言うのはアレだけど、雨の日って、学校に来るのがちょっと面倒だよな。でも、登校すればお前に会えるから、雨の中を登校するのも何のそのだ」
えっと、それは…毎日学校に来て俺と会えるのが嬉しい、つまり、登校すること自体がこいつの中で、特別な嬉しいことになってるって意味か?
変な意味じゃなくて、俺は多分こいつにとって、生まれて初めて自分が『雨男』であることを罵ったり嫌がったりしなかった存在なのだろう。だから、そんな俺と会える…学校に来ること自体が嬉しくて特別。そういう定義になってるんだろうな。
ということは…。
この雨は、俺がこいつを突き放さない限り止むことはない、ということだろうか。
雨が降るのはこいつのせいじゃないとしても、このままじゃ天変地異まっしぐらだから、どうにか嫌われて距離を置くしかないのかな。
友達は雨男…完
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