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76 〜宝〜 ライブは大成功。 ひとつ面白話があるとすれば、アンコール定番曲で、舟木が消えた事だ。消えたと聞けば不思議話だけど、要は落ちた。ステージからスッと落ちたんだ。 打ち上げ。 「GOD is nightmare ツアー初日!お疲れ様でしたっっ!」 如月が乾杯の音頭をとり、グラスがかち合う音が各所で響く。 「しっかし!!アンコールは伝説になるな!」 音と声の雑誌編集長市野さんがニヤニヤ笑いながら舟木の肩をバンバン叩く。 「イリューッッジョンッ!て感じでスポンと消えたもんね!」 凪野がゲラゲラ笑う。 「ヒャヒャヒャ!マジであれは!ビックリだよな!背中痛かったんだろ?」 俺が舟木に問いかけると、少し背中を摩りながら「痛かったけど、恥ずかしいじゃん、もう必死だったよ」 「這い上がるのギターあるから大変そうだったよな」 如月が苦笑いする。 「つづちゃんが手を引っ張ってくれたから。ライブハウスぐらいの段差なら上がれたけどさ!ホールはキツイ!しかも、初日でカメラ入ってたじゃん?あれさ、絶対切って使われるよねぇ〜」 「ヒャヒャヒャ!絶対入れる!」 「うわぁ〜井波パイセン怖〜」 山路さんがイジってくる。 「あったり前じゃない。あんな落ち方っ!クククッあぁ〜!ダメだ!思い出したら!ヒャヒャヒャ!」 良いライブが出来て、美味い酒があって、騒ぐ仲間がいる。 もう気分は最高だった。 如月も今日ばかりは、隅っこに行かず輪に入って大量の酒を楽しんでいる。 笑ってる如月は可愛いと思う。元々しっかりしていようとしてるだけで、だらしなくていい加減だ。ちょっと天然で、実は笑いのセンスがあったりする。いつも、何かに追われているように周りを警戒しているけど…。 本当の如月は、無邪気で悪戯好きな子供みたいな男だ。 チビチビ傾けるビールジョッキの隙間からそんな彼を盗み見る。 あぁ…抱きしめたい。 キスがしたい。 本当に大切だと思える相手と とびきり甘く優しいキスがしたい。 如月…その相手がお前だって分かるだけで、胸が熱いよ。 いつも俺に、痛いぐらいの愛をくれる。不器用で今にも壊れそうな愛をくれる。 如月、好きだよ。 本当に…本当に好きなんだ。  
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