新しい世界

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 そして一週間が経った。  撮影当日……。 「おはようございます」 と入って行くとメイクアップアーティストやスタイリスト、ネイリストに連れていかれる。 「うーん。肌は綺麗ね。キメが細かくてメイクの乗りは良さそうね」  ややブラウンのロングヘアーもホットカーラーを巻かれ、爪もネイリストに装飾される。  三十分もすると鏡の中の自分が誰? って思う位に変化していて驚いた。 「さぁ、着替えようか。先ずはこれね」 と春のパステルカラーのワンピースを渡される。  半年先の創刊号は四月号。春らしいスーツやワンピースは来年の春に店頭に並ぶ予定のサンプルをメーカーから借りているそうだ。  支度も出来てスタジオに入ると 「さやちゃん、いいね。パステルカラーがとても似合ってるよ」 と亀井編集長。 「じゃあ、行こうか」 と武田カメラマンがカメラを構える。  アシスタントに立ち位置を教えられ白いパンプスで歩いて行く。 「そのまま、振り向いて」 と言われ振り返るとカシャッとシャッター音。  ライトが眩しくて、でもそれが幻想的で別の世界に来たみたいに何故か笑顔になれた。 「紗耶、輝いてる。やっぱり向いてるよ」 と桜子が呟いていたのは聞こえなかった。  衣装を五パターン着替えて、それに合わせてヘアメイクもネイルも替えて撮影した。  不思議と疲れたとは思わなかった。 「はい。お疲れさま」 「お疲れさまです」 「お疲れさまでした」  何だか良く分からない内に撮影が終わった。 「桜子ちゃん。さやちゃん、かなり反響が来ると思うよ」 「そうですね。私も思っていた以上で驚いてます」 「売れっ子モデルになりそうだね」 「楽しみです」 「家で専属契約結んでおくかな?」 「それは本人と相談してからですね」  なんて話が進んでいるなんて……。  衣装を脱いで、メイクを落としてもらっている私は全く知らなかった。
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