シリウス

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シリウス

 その週末土曜日。  早目に来た規智がカウンター席で待っていると、紗耶を連れた凌太が現れた。 「先輩」 「おぉ。久しぶりだな」 「こんばんは」 紗耶は緊張しながら挨拶した。 「君が紗耶ちゃん? 初めまして」 「あ、はい。宜しくお願いします」 今夜はミントブルーのタフタの半袖ワンピース。 「紗耶ちゃんが真ん中に座って」 「はい。ありがとうございます」 カウンター席のスツールに腰掛けた。 「紗耶ちゃんは何を飲む?」 「先輩。紗耶は酒はあまり強くないから……」 「私だってカクテルくらい飲めます。バレンシアをお願いします」 「はい。かしこまりました」 若くてきっと女の子にモテるだろうなと思うバーテンダーさんがシェーカーを振る。  綺麗なオレンジ色のバレンシア。 「美味しい」 「紗耶、一杯だけだよ」 心配性のお兄ちゃん……。 「凌太。過保護なシスコンもいい加減卒業しろよ」 「いえ。この先、何があっても無くても、紗耶は永遠に俺の妹ですから」 「ハハッ。それはそうだけど……」 「ウィスキーソーダを」 お兄ちゃんが注文する。 「先輩はいつものマティーニですか?」 「そうだな。落ち着くんだよ」
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