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美容院「反抗 スタイル」は、その名の通り、反抗期にありがちな髪型に特化した店だ。壁には派手な髪色のポスターが飾られ、音楽は常にロックが流れていた。
年頃の子どもたちが店に入ると、当然のように緊張した表情を浮かべる。しかし美容師たちは、彼らの心情をよく理解していた。だからこそ、彼らがとても気に入った髪型に仕上げてくれるのだ。
ある日のこと。15歳の少年、タクヤがその店を訪れた。彼は長い間、母親に連れられて通っていた、普通の美容院に嫌気がさしていた。彼は思い切って「反抗 スタイル」に足を運んだ。
女性美容師の一人はタクヤの目を見つめ、問いかけた。「どんな髪型がいいかしら?」
タクヤは「とびきりロックなやつにしてください!」と答えた。
女性美容師は笑いながら、髪を刈り始めた。彼女の手つきは優しく、しかし確信に満ちていた。
20分後。タクヤは鏡を見て、自分の姿に驚いた。今までの緩やかな前髪のある、いわゆる普通の髪型とは違っていた。モヒカンだった。しかも赤いモヒカンだ。
外に出ると、タクヤの友人たちが彼を驚きの目で見つめた。彼らはタクヤの新しい髪型に大喜びし、一緒に写真を撮った。何枚も何枚も撮った。反抗期のタクヤにとって、最高の一日となった。
しかしこの時のタクヤは知る由もなかった。彼は数日後、「スイカ」という不本意なニックネームをつけられ、頭を抱えることになる。しかしその物語は、また別の機会に語りたいと思う。
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