養女

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養女

 当然だろう。正義の味方は、ほぼほぼボランティア活動で無報酬だ。  しかも土日祝日も関係ない。  緊急時には、真夜中の時間外労働も当たり前だ。  それなのに時間外手当てどころか、報酬は1円も貰えないのだ。    よっぽど暇と金に余裕のある篤志家しか務まらないだろう。 「正義の味方など危ないじゃろう。怪我でもしたら取り返しがつかんぞ。それに万が一、戦闘で亡くなる事もあるんじゃろう」 「平気、平気。強そうな怪人はスルーして、他のジャスティスメンバーに退治してもらうから!」  今日はレッドもブルーもいないので、仕方なく逃げてきた。 「ううゥむ、ワシよりも先に死んではシャレにならんからなァ!」 「フフゥン、心配しすぎよ。ダーリン。これでも逃げ足だけは早いんだから」  自慢の長い脚をみせた。 「うむ、っで、姫? あの話しは考えてくれたか?」  真神天司は声をひそめた。  莫大な遺産相続が絡んでいるため関係者には聞かれたくない話しだ。  周りに座るボディガードの中にもスパイがいるかもしれない。  ボディガードらも私達の話しに目を光らせていた。 「ううゥン、ダーリンの養女になるって話し?」  もし私が真神家の養女になれば、桁違いの遺産を相続することになる。  おそらく一生遊んで暮らせるほどだ。  しかし本当にそれで幸せになれるのだろうか。
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