ジャスティスブラック

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ジャスティスブラック

「えェ、正義の味方じゃとォ……?」   「そう、先生は正義の味方ジャスティス・ブラックなの。まさに黒衣の外科医で法外な治療費を請求する悪徳外科医なのよ」  私も歯に絹をきせないタイプだ。  思いっきりディスった。 「ぬうゥ、そんな悪徳外科医が、正義の味方なのか?」  それを聞いても真神天司(ヒロシ)は納得いかないようだ。 「ええェ、お金持ちの政治家や経団連の大物会長たちから法外な治療費を受け取って、そのお金をヲタ活で湯水のように使っちゃうの!」 「ン、湯水のようにヲタ活で?」  真神天司(まかみヒロシ)は眉をひそめて聞き返した。 「そうよ。名もない地下アイドルたちは、僅かな報酬で悪徳事務所の社長やプロデューサーに売り上げのほとんどを搾取されているの。彼女たちは信じられないような安い給料や報酬でやり繰りしてるのよ」 「ぬウゥ」 「さらに手っ取り早く金を稼ぐために無名のアイドルたちにパパ活やまくら営業、系列のキャバクラ店へ派遣したり、果てはお風呂場に沈めるとか。やりたい放題なの!」 「お風呂場に沈める?」 「ソープよ。ソープ!」 「ああァなるほど、確かにお風呂場だが」 「さらに無理やりAVに出演させたりねェ。そんな被害者を一人でも救うためマックロードは日夜、ライブに通って、湯水のようにヲタ活をしてるのよ」 「フフゥン、なるほど資産家から法外な治療費を奪い取って恵まれない地下アイドルへ還元するのか。とんだ伊達(だて)直人だな」  真神は苦笑して眉をひそめた。 「えェ、伊達直人ってェ?」  今度は私が聞き返した。
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