猫様01 どうしてこうなった?

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猫様01 どうしてこうなった?

 …………意味が分からない。  目線が物凄く低い。地面スレスレ。  叫ぼうとして、声を出したのだが、 「ミャーッ」  出てくる声は、こんな声。  思わず自分の体を見遣ると、  体中が、白と黒と茶の三毛の毛で覆われている。  丸々と目を見開いて、絶叫する。 「ミ゛ニ゛ャーーーッッッ(何だ、これは!!)」  思わず走り出そうとして、一歩を踏み出したが、  足に水の感触がして、飛びずさった。  よく見ると、  視界に映る世界は、灰色の、土砂降りの雨。  目の前には、大海原のような雨溜まり。 「ミャァ…(濡れるのは嫌だ…)」  足に付いた水を、ピルピルと払った。  自分の小さな身体を、降りしきる雨からギリギリ守ってくれる、  バス停のボロボロの椅子の下で、呆然と今の自分の状況に絶望する。 「ミャ…ゥ(どうにもならんな…これは)」  俺は、早々に今の現状を諦めた。  吾輩は猫である。  名前はまだ無い。  かの文豪の、有名な序文が頭をよぎる。  それにあやかるわけではないが、  吾輩はなぜか猫である。  名前はちゃんとある。  赤崎龍二(あかざきりゅうじ)。  極道・赤崎組の若頭だ。  普段は、赤崎の全てに睨みを利かせ、護っている俺。  その俺が、三毛の仔猫に成り下がっている。 「ミャーッ(どうしてこうなったーっ)」  俺が出せる言葉は、全て、この鳴き声の、  言葉にならないひと声にされてしまう。  誰か、俺のこの状況の説明を。  誰か、俺のこの状況に救いの手を。  ああ…、  年甲斐もなく、泣きそうだ…。
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