プロローグ

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 今冬夜が対峙しているのは悪魔に取り憑かれた人間だった。  冬夜の能力は悪魔を見つけ退治出来る能力だったのだ。   「何で毎回毎回懲りもせずに出て来るかなぁー。お陰でこっちは寝不足だよ」  はぁーと欠伸をしながらそう言う冬夜に緊張している様子は無かった。  悪魔と言っても上級中級下級と能力の違いがある。今冬夜の目の前にいる悪魔は下級だ。冬夜にとっては赤子の様なものである。  だが最近、この下級悪魔の出現の多さに少々違和感を抱いていた。  悪魔は人間に取り憑き、身体を乗っ取り、魔界へと連れて行く。  悪魔の存在を知らない一般人にとっては単なる行方不明で済まされてしまうのだ。 「じゃ、さっさと終わらせようか」  冬夜はそう言い、人差し指を立てて呪文を唱え始める。 『邪なる者よ。我が光の前に消え去れ』  冬夜の呪文に悪魔が光に包まれ苦しみ始めたと思った瞬間、悪魔は消え去り、解放された人間はその場に倒れ込む。  冬夜は人間の状態を確認し、携帯を取り出して要件だけ伝えて、道の隅に人間を横にする。  遠くから救急車のサイレンの音が聞こえたのを確認すると静かにその場を後にした。
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