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「本当に?秋斗は無事なのか?」
「ええ」
男性が冬夜の問いに無愛想のまま答えた。
この男性が言う通りに、本当に弟は無事なのだろうか…
冬夜の感情を読んだかの様に男性は携帯を差し出して来た。
「あ…」
それは冬夜の携帯だった。
一番安い機種を何とか買った携帯で、男と揉み合いになった時に吹き飛んだのを思い出した。
画面が少しひび割れている様だったが壊れてはいない様だった。
その時、男性から携帯を受け取ったタイミングを見計らかった様に携帯の着信が鳴った。
着信の相手は妹の千夏からだった。
「もしもし…」
『あ!お兄ちゃん!大丈夫?』
「えっ…」
『えって…』
千夏の話だと冬夜は働いている仕事先でトラブルがあり急遽、シフトに入れないかと頼まれたらしい。それでシフトに入るため顔見知りでもあった店長が弟の秋斗を家まで送ってくれたらしい。
冬夜の様子を不安がった千夏がお兄ちゃん大丈夫?と心配そうにしていたが冬夜は大丈夫と答えてもう仕事に戻らないと、と言って電話を切った。
何が何だか分からず戸惑いながら男性に視線をやる。
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