第1章 再会

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 ただ専門学校はそうも言っていられない。それくらい短い。  でも「そもそも学校なのだから、遊んでばかりいないで勉強しなさい」という事は重々承知だ。  ただ一人でやるよりも誰かと一緒にやった方が楽しいし、誰かに教えながら勉強した方が知識の定着もしやすいと聞く。  それに、やっぱり仲の良い友達は欲しい。 「でもなぁ」  通っている専門学校のクラスにはもう既にいくつのかのグループが出来ていて、しかもどうやらそのグループで集まっている人たちは同じ高校の出身らしい。  それを考えると……やっぱり難しいなぁと思ってしまう。  例えばその人たちが昔話とかをしていると、それを知らない私にはさっぱり分からないという事が起きかねない。  そういった状況が続けば完全に私は孤立してしまうし、相手にも気を遣わせてしまう。  せっかく仲良くなっても結局孤立してしまったり気を遣わせては意味がない。多少なりの気遣いも必要だし、私も出来る限りついては行こうと思うけど……。  やっぱり無理して仲良くするのもおかしな話だなと心のどこかでは思ってしまう。 「やっぱり難しいのかなぁ」  なんて一度でもそんな事を考えてしまうと気持ちも沈む。 「はぁ」  もうこうなったらずっと続けているアルバイトに精を出すしかないのかも知れない。  ちなみにアルバイト先は飲食店。アルバイトを募集していた当初。マスター曰く応募してきたのは私以外いなかったらしい。  幸い当時私が通っていた高校はアルバイトが禁止されていないから、小遣い稼ぎも兼ねて学校に慣れて進路も決まった三年生の一学期の中頃から始めた。  幸い専門学校も早い段階で推薦をする事に決めていた事もあって、ありがたい事に結構長く続けさせてもらっている。  ちなみに、将来的にもっと長く続けられたら……なんて思っているのだけど、それはまだ誰にも言っていない。 「あ」  そういえば……今日は新しい子が入ってくると店長が言っていたのを思い出した。確か私より年上だとか……。  店長からまだ詳しい話は聞いていないけど、新人とは言え同じアルバイトという立場なのならやはり仲良くしたいところである。 「仲良く出来るといいなぁ」  そして「あわよくば友達に」なんて小さな野望を抱きつつ、夕焼け空を見上げながら切なる願望を小さく呟いてアルバイト先へと向かったのだった――。
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