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「あら」
「えぇ」
あまりに突然の雷に大量の雨。確か今日の天気は午前中が晴れで午後が曇りだったはず……いくらさっき厚い雲が空を覆っていたとしても、さすがにこれだけの雨は想定していない。
「雨が降るなんて天気予報で言っていなかったのに突然ね」
「そうですね……」
「それよりも、大丈夫そう?」
「はい?」
「雨。結構強く降っているみたいだし、すぐには止みそうになけど」
「……」
正直すぐに「大丈夫です」と答えたいところだ。しかし……チラッと外を見ると、確かに樹里亜さんの言う通りなかなか強く降っている。
「だ、大丈夫……だと思います。多分」
「そう?」
そう答えたものの、内心は天気を気にしながらタクシーに揺られると、チラッと外を確認した樹里亜さんが唐突に降りる準備をし始めた。
「ねぇ、未麗ちゃん」
「はい」
「このまま私の家に泊まって行かない?」
「……はい?」
何の脈絡もない申し出に思わず固まっていると……。
「ほら、結構遅い時間になっちゃったし、親御さんには私の方から連絡入れるから……どうかしら?」
「え、えぇ……」
確かに家に一人でいるよりも樹里亜さんといる方が両親も安心だとは思う。それに何より私自身が安心だ。
ただまぁ、両親も樹里亜さんと話すのはかなり久しぶりになっちゃう可能性があるので、連絡は私の方からして説明はしたところではある。
それにこの雨だ。
しかも、雨だけならまだしもところどころで雷が鳴っている中で家に一人は……正直、私としては避けたい。
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