第1章 再会

4/15

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
◆   ◆   ◆   ◆   ◆ 「こんばんはー」  そうこうしている内にアルバイト先に着き、従業員が使っているカフェの裏口のドアを開きつつ、挨拶をすると……。 「おお、未麗」  厨房からヒョコッと笑顔で顔を出したのは人当たりの良さそうな中年の男性。この人がこのお店のマスターである。  よく「カフェと言えば」で連想されるようなダンディな男性ではなく、どちらかというと、ラーメン屋とか飲食店にいる様な雰囲気の気さくな人である。 「こんばんは。マスター」  休日のランチ時は今ある席が全て埋まって待ち時間が発生する事もあるけど、平日は基本的にお客の流れは穏やかで、マスター以外にアルバイトが二人かいれば十分手が回るくらいだ。  大きなレストランやチェーン店ではありえない話かも知れない。  でも、そもそもこのカフェがある場所が駅から歩いて十分ほどという良い立地条件でありながらちょっと細い道に入らないといけないため、知る人ぞ知るというお店になっている。  そんな小さなお店にたくさんの従業員はかえって給料の支払いなどの面からいらないらしい。  簡単に言えば「地域密着型」と言えば分かりやすいかも知れない。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加