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七月の朝である。
蒸されたような部屋で目覚めた私が初めに感じたのは意外にも朗らかな気持ちだった。外はすでに明るく鳥が囀る声が部屋まで届いている。室内はむっとした暑さに包まれ、寝間着とシーツは夜半にかけてかいた汗でぐっしょりと濡れていて不快だ。そのはずなのに耳に響く高く通ったその声のおかげで私は心穏やかに重たい瞼を開けた。現実なのか夢なのか判然としない、まさに夢見心地な朝を迎えたのである。それは久方ぶりのことであった。
しかしだんだんと目が覚めてくると囀りの効果は薄れ、暑さからの不快が一瞬間で募ってくる。堪らず寝間着を脱げばどさりと荷物の下ろしたように体が軽く、そして清らかになった気がした。
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