Evil Break

貴族とは

貴族というのは、簡単に言うと、偉い人のことだ。偉い人と言っても、貴族にも位がある。［公侯伯子男］というのは聞いたことがあるだろうか。イーブル家、つまり僕達の家は、公爵であり、一番偉い貴族であるのだ。なんなら、皇族より権力を持っているかもしれない。普通は皇族が1番偉いのだが、この国はイーブル家=皇族と同じ、と考えられているらしい。
僕達はそんなイーブル家の端くれで、イーブル家に僕達は“存在しない”。
そんなのでどうやって生活しているか。偽名を使っているのだ。［Break派］と呼ばれる僕達は、黒い服をまとって、色々な“バイト”をして街を回っている。何故か。お金なんて自分たちで稼がないと。あんな奴らがお小遣いをくれると思う？という訳なのだ。

「ベティお兄ちゃん、はい、これ。」

と、妹がパンの耳をちぎって渡してくる。

「別に、僕はいらないよ。」

と言って拒絶するが、妹は一向に引こうとしない。仕方なく貰い、食べると、妹は嬉しそうににこにこと笑った。

「…兄さん達は頑張りすぎなんだよ。」

弟がボソリと呟く。「しょうがないだろう？」兄がにこやかに言う。どうやら僕と兄の考えは同じなようだ。

「僕（俺）達はお前（君）らの、兄貴なんだから（さっ！）」