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寝言だろうとなんだろうとそれは言っちゃ駄目なヤツだ。
ていうか思いっきりバレてんじゃん。どうすんの俺。
幼馴染の男に対して抱いてはいけない欲望を抱いていると完全に知られた。
それなのに当の本人は表情を変えもしないで、その上三週間経ってからようやく真実を告げてきた。狂ってんのか。
いや、そんな事よりも。ユウヒのこの手は、どういう意味で取ればいい。
「…………」
「する?」
「ああッ?!」
いやだっ。何それッ。どうなってんだコイツ!
立ち行かなくなって冷や汗をかきつつハラハラとユウヒを見下ろしていると、たった二文字で心臓を一突きされた。
するって何。なにをするの。この人どうしたの。ていうか俺がどうしちゃったんだ。
冷や汗どころじゃない、大洪水だ。
ボケッとしている珍獣が、一瞬にして色魔に変わった。ように俺には見えた。
「ユウヒ……どういうつもりで言ってんの……?」
「どうって?」
「いや……だから……」
やめてくれ。小首を傾げて見つめないでくれ。
片手で頭を押さえながらその顔を見下ろす。
ユウヒはそんな俺を見返してしばらく何かに考えを巡らせた末、ノロノロとベッドの上で起き上がった。
クイッと腕を引っ張られ、腰を屈めてベッドに手を付く。
少し縮んだ距離の中、俺の目をじっと見つめてくるユウヒは本気でモンスターだった。
「エッチする?」
「ぐっ」
なんなのマジでッ。
「っていう意味なんだけど」
「おま……お前は……!!」
口がパクパクするばかりで何も言えない。
一方の幼馴染は微塵も表情を変えずにいる。
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