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理解不能だった。顔が熱くて炎上しそう。
体は固まり、頭の中は全力で脳細胞がバタついている。
俺が何もできずにアホみたいに動揺していると、ユウヒはとうとう起きている事に飽きたようだ。
切り替えるのも相当早くて、俺から手を放すと再び布団に潜った。
「違ったか。じゃあいいや、寝るね」
こいつ。人の事動揺させるだけさせといて。
さすがにこれはイラッときた。結局ユウヒの真意は分からず終いだ。
それでもこのまま黙って寝かせてしまうのは俺の気が収まらない。
怒りにまかせてガバッと剥ぎ取った布団。
相変わらず無表情なユウヒが俺を見上げている。ふざけんな。
「っいいわけあるか天然野郎! 違くねえよすげえヤリてえよっ! ワガママ抜かしやがって少しは思い知れッ、ここで犯すぞアホが!!」
ここが学校という事も忘れ、教員に聞かれていたら間違いなく指導室行きの暴言を吐き捨てた。
腰下まで捲った布団を握りしめ、喧嘩腰でユウヒに迫る。
しかし。
自分から吹っ掛けておいて、いざ俺が本音を吐き出してみれば、ユウヒから返ってくるのはシロい目だ。
「……ふーん」
「…………」
うわ。なんかリアルに軽蔑されたっぽい雰囲気。
嘘だろ。何この理不尽な仕打ち。「エッチする?」とか言ってたの誰だよ。
さっきとは別の意味で何も言えなくなり、情けなくもスゴスゴと布団を掛け直してやった。
その中にすっぽりと収まったユウヒは口元まで自ら布団を被せ、やはり何を考えているのかさっぱり分からないような目を俺に向けてくる。
これは、悪いの、俺か。俺なのか。
「アキラ」
「……はい」
「購買開いたらチョコ買ってきて」
「…………ハイ」
俺もしかしてハメられたのでは。
どうしよう。気づくのおっせ。
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