あいつとクッキーと俺

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「アキラ」 「……なんだよ」 「クッキー焼いて」 「…………」  いいでしょうとも。焼きましょうとも。  これから夕食作るのよってお袋に邪魔者扱いされようがめげずに粉をふるいましょうとも。  なんで俺はこんな事になっちゃってるんだろう。  報われねえよ。誰がどう見たって絶対そう思う。  こんな事をしていてもヤレる訳でも手に入る訳でもないのに、はいはいと従ってしまうのはやっぱりこいつの珍獣力。  カワイイ。こんな密着されたら堪ったもんじゃない。  俺の理性は自分でもビックリするくらい屈強だ。  腕真っ白だし、超細いし。女子とは違うけど全体的に華奢。  これでケンカ強いんだからこいつはどこまでも人を裏切る。  髪なんかサラッサラだしな。くすみのない真っ黒ストレート。  寝起きが悪いからセットなんて言葉は頭にすらないのだろうけど、起き抜けの状態で外に出ても問題ないくらい元から整っている。  困った。可愛いヤリたい。抱きたい抱きたい抱きたい抱きたい。 「…………今から作ると時間かかるからな」  俺の理性、勝った。
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