あいつとクッキーと俺

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 それもどうかと思うんだけど。もう少し違うリアクションないのかよ。  立てた片膝に肘を乗せ、頬杖を付きながら間近でユウヒを観察する。  可愛いけど、心境は微妙。 「……うまい?」 「うん」 「そう……」  なんでか溜息。素直にウマいと言われたのに肩が落ちる。  もう少しこっちに興味を示してほしい。欲を出した本音で言うならそれが一つ。  ユウヒが気になるのは俺ではなくて、俺が作るお菓子類その他だ。  なんて虚しい。悶々と考えていると些かの苛立ちが込み上げてくる。  クッキーに貪り付くユウヒに大した意図もなく手を伸ばした。 「あのさ……」 「だめ」 「え」  肩に触れる直前、パッと俺を見上げてきたかと思うと間発入れずに止められた。  なにそれ。まさか触んなって事か。  そこまであからさまな拒絶を受けるとはさすがに思っていなかったから、上げていた腕も思わずピタリと止まる。 「全部僕が食べる」 「…………」  そっちかよ。だから誰も取らねえって。  焦って損した。ユウヒの言動は拒絶を意味しているモノではなかった。  クッキー取られないための防御だ。  どこまで食い意地張ってんだ。つーかそれ作ったの俺だろうが。  脱力感も一層大きなものになりながら、ガックリと項垂れたついでに行き場のない手も引っ込めた。 「食っていいよお前が全部。もうソレ持ってっていいからそろそろ帰れ」  じゃないと危ない。俺の理性が。
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