あいつとクッキーと俺

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 この前暴露をしてしまってからユウヒがやたらと絡んでくるせいで、最近の俺は常に下心との戦いを強いられている。  今だって目の前に楽園があるせいで死にそうだ。  ガツガツと、しかしどういう訳か可愛い様子でクッキーに食らいつく。  指にほんの少し付いたクズみたいな粉までも惜しいようで、躊躇うことなく舌を這わせている。  ちゅっと、口づけられる指先。許される事なら俺が舐めてやりたい。  いやむしろ。俺が指になりたい。 「……なに?」 「えッ?!」  じーっとユウヒから目をそらさずにいると、ユウヒが俺に向かって言った。クッキーとの戯れを中断させてまで。  あのユウヒがおやつタイムに意識を別に向けた。とんでもねえことだ。  よっぽど不審だったのだろう。  ていうか俺、いま何考えてた。 「あんまり見られてると食べづらい」 「え……あ、ゴメン……」  普通に食ってんじゃねえか。とは罪悪感があるせいで言えない。  とうとう俺もここまで来たんだな。この重症加減には自分で自分にドン引きだ。  頬杖を付いたまま顔の向きを僅かに逸らし、俺にとってはエロ画像と化している目の前の光景から目を背けた。  居心地が悪い。自分の部屋なのに。  俺の部屋だから俺が出て行くのも変だし、かと言って帰れと言った俺の言葉は完全に聞き流したらしいし。ユウヒが出て行く気配はない。  生き地獄。生殺しってこういう事だ。
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